湯平温泉 砂湯(中央温泉)

石畳の坂が細く長く続き両側に宿や土産物屋が軒を並べる。閉業した宿も見受けられる。湯平温泉の午前は静かで人の姿は疎らだ。



温泉街の手前にある無料駐車場から歩き出す。石畳を上り細い路地を抜け花合野川に架かる細い砂湯橋を渡ると浴舎だ。岸辺に建つゆえ、増水した際は心配な気もする。




浴舎は建替えられてからさほど年月を経いていないようだ。入口には料金箱が下がる。200円を入れる。扉を開けると脱衣所と浴室が一体化した浴場が現れる。
一応、脱衣場所と浴場は木板で仕切られているが、湯気が立ち上れば脱衣棚は濡れるようだ。服を脱衣棚に置く際は、棚が濡れていないか確認が必要だ。




浴場にはコンクリート製の浴槽が一つあるのみ。淵には木があしらわれているが、至ってシンプルだ。共同浴場のありようを体現しているかのようだ。
湯口からは少量の湯が注がれている。浴槽内には極薄く黄金色を帯びた湯が満たされている。表示によれば加水されているようだ。温泉分析表に記述された微弱黄褐色、微弱白濁、弱硫化水素臭を確認することはできない。湯は肌に優しく素直な感触だ。



天井を見上げると、明り取りが設置されている。迫る崖などで暗い浴室に光を誘い込む。
木の淵を滑るように溢れて去っていく湯を眺めていると、許された時間はあっけなく過ぎていく。

湯平温泉は長い歴史を有しているようだ。石畳の温泉街の一角に無料休憩所がある。6畳間ほどの空間に昔の写真が掲示されている。
白黒写真には人々で賑わう温泉宿や湯平駅前にずらりと並ぶタクシーが写されている。4階建ての木造旅館もあった。大正から昭和の初期にかけて、賑わっていたことがうかがえる。

2006年12月23日の砂湯だ。



残念ながらこの浴舎には未入浴だ。


湯平温泉 砂湯(中央温泉)
由布市湯布院町湯平
ナトリウム-塩化物泉(湯ノ平中鶴2号)
81.9℃
シャンプー類なし ドライヤーなし
内湯
200円
6:00~21:30
2016/2/21