岩戸湯

紅葉の時季を外せば一目八景は人の影もまばらで、ゆっくりと時間を過ごせる。
建て替え工事が進む観光案内所のある公共駐車場から県道28号を北へ少し進むと、右手道沿いに小さな建物が立つ。「岩戸湯」と壁に書かれているし看板もあるから迷わない。




声をかけ入浴を願いする。浴場は階下にある。階段を下りていくと暖簾が迎える。コンパクトな脱衣所には木製の白い棚と洗面台が置かれている。
透明ガラス戸の向こうには明るい浴槽が待つ。浴室は透明ガラス戸の広い窓のおかげで明るく、稲穂の波と緑の山影が心を休めてくれる。左に浴槽、右に洗い場が配置されている。




男女を分ける壁の湯面下に湯口があり、ボコボコという音を響かせながら勢いよく湯が供給されている。小さなパイプからも不規則に湯が飛び出てくる。どのような仕組みで湯が供給されているのだろうか。
浴槽の淵には溝が切られ、溢れた湯は流れ去っていく。湯は適温で薄い褐色を帯びている。耶馬溪の温泉で見られる色合いだ。鼻腔をくすぐるような臭いはない。肌に残る感触は素直だ。身を沈め風景に視線を任せれば時間を忘れそうになる。




切り取って持ち帰りたい風景を家族で楽しむこともできる。料金は高くなるが、貸切湯として利用することも可能のようだ。


耶馬溪温泉 岩戸湯
中津市耶馬渓町深耶馬3211
0979(55)2923
単純温泉
40℃
石鹸のみ ドライヤーなし
内湯
300円
10:00~20:00
休:水曜日
2015/8/29